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トレーサビリティとは

 「食品トレーサビリティ」とは、「生産、加工及び流通の特定の一つまたは複数の段階を通じて、食品の移動を把握すること」と定義され、各事業者が食品を取り扱った時の入荷と出荷に関する記録を作成・保存しておくことです。これは、食品に関する事件・事故が生じた際に、食品の移動ルートをその記録をもとに遡及・追跡して、原因究明や商品回収等を円滑に行えるようにするための仕組みであり、消費者の健康被害の拡大防止や、事業者の経済的損害を小さくして社会的信用の失墜を招かないようにするためには、いまやトレーサビリティの確保は食品業界全体で当然に取組むべきものとして捉えられています。
 この、食品事業者による食品トレーサビリティへの取組みは各者各様であり、入出荷の記録の作成・保存といった基礎的なトレーサビリティの取組みから、ロット情報の記録や事業者内部でのトレーサビリティに関する記録をも作成・保存する高度なトレーサビリティの取組みなど、その事業者の状況に応じて段階的に進めていくことが重要とされています。また、食品トレーサビリティに関する消費者の意識は、多くの人がその取組みに対する重要性を認識しており、食品業界全体に対して更なる普及と徹底が求められております。

トレーサビリティに関連する法令

わが国におけるトレーサビリティ確保のための法律としては、BSEの発生を契機に制定された牛トレーサビリティ法(牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法)に続き、適正なお米の流通を図るために米トレーサビリティ法(米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律)が制定され、平成22年10月1日から業者間の取引等の記録の作成・保管が、平成23年7月1日からは産地情報の伝達がそれぞれ義務付けられています。また、このほかの食品については、トレーサビリティ確保を罰則付きで義務付ける法令はありませんが、食品衛生法、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)、法人税法・所得税法では、記録の作成・保存等について規定されています。

トレーサビリティへの取り組みは、わが国のみならず世界各国に広がっており、法律の制定による義務付けや、各国のGAP(農業生産工程管理/適正農業規範)規格や、食品安全に関する国際規格(ISO22000など)でも、トレーサビリティが要件の一つに挙げられるなどしております。

(参考:農林水産省発行 食品トレーサビリティ関連資料)